先日、あるご夫婦から相続についての相談をお受けしました。
お子様がいらっしゃらなかったのですが、その場合、ご主人様(或いは奥様)がお亡くなりになった場合、誰が相続人になるのか?という事を心配されているということでした。

まず、民法の原則から見る必要があります。

民法は、相続人の順位として、

1. 子ども
2. 父母
3. 兄弟姉妹

と定めているわけです。配偶者には当然に相続人となります。
そして、既に子どもが死亡している場合は孫が、父母が死亡している場合は祖父母が、兄弟姉妹が死亡している場合は甥や姪が、相続人となるわけです。いわゆる、代襲相続というやつです。

今回ご相談頂いたご夫婦には、ご主人様にお兄様とお姉様がいらして既に亡くなっているのですが、それぞれにお子様が2人ずつ(つまり、甥と姪)がいるので、ご主人様がお亡くなりになった場合、配偶者である奥様とこの甥と姪の合計5人が法定相続人になるということになってしまいます。

しかしながら、奥様とこのご主人様の甥や姪に当たる方とはもう長い間会ってもいない関係のようで、相続が発生したとしても、相続について話し合いはしたくないということでした。

そのため、この点について凄く心配をされていました。

ちなみに、法定相続分は次の通りとなります。

・配偶者のみ … 全部
・配偶者と子供 … 配偶者が2分の1、子どもが2分の1
・配偶者と親……配偶者が3分の2、親が3分の1
・配偶者と兄弟姉妹……配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
・子どものみ……全部
・親のみ……全部
・兄弟姉妹のみ……全部

今回相談頂いた内容では、相続人が、配偶者と兄弟姉妹(代襲相続)となりますので、
4分の1を甥と姪で分け合うことになります。

ただし、ご主人様が遺言をしっかりと残しておくことでこの問題は回避することができます。

「全財産を妻に相続させる」と遺言を残しておけば、全ての財産を配偶者である奥様が相続することができるわけです。

通常ならば、遺留分というのが認められているために、法定相続人も最低限の遺産を受け取ることができるのですが、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。

ですので、ご主人様が遺言さえ残しておくことでこの問題は回避することが出来てしまうわけです。