不動産の名義変更(相続登記)はなぜ必要?

不動産の所有者が亡くなり、相続人へ登記簿の名義を書き換えることを 「相続登記」 といいます。

現行制度において、相続登記は、相続が開始してからいつまでしなければならない、という様な時間的制限はありません。

何年も相続登記がされていないということは、決して珍しくありません。

しかしながら、相続登記をせずに放置しておくことで、様々な弊害が起こる可能性がでてきます。

一例を挙げてみますと、不動産を所有していたAが亡くなったとします。

Aの相続人はBとCだけです。

BとCは話し合いで、この不動産はBが相続するということを決めました。

ところが、Bは自己名義への相続登記をしていませんでした。

その状態のまま、次はCが亡くなりました。Cの相続人はCの妻Dと子のEとFです。

BはAから相続した不動産を売却しようと不動産屋さんに相談をしましたが、「亡A名義のままでは売却できないので、B名義への相続登記を先にしてください」と言われてしまいます。

Bは相続登記をしようとしますが、Cが既に亡くなっている以上、その相続人であるDとEとFの協力が無ければ簡単に相続登記ができません。

つまり、このCの相続人の3人のうちたとえひとりでも、「BがAからこの不動産を相続した」というBC間の話し合いを、「そんな事実は無い」と言ってきた場合、

もはや話し合いだけでは相続登記はできなくな るわけです。

また、今回のケースでは、Cの相続人の中に疎遠の方がいれば、その方に連絡をすることさえ難しいこということもあるかと思います。

上記はほんの一例です。

相続登記を放置してしまったがために本来の権利関係通りに登記簿を反映させる事が非常に困難になることがありますので、出来る限り速やかに相続登記は終わらせておいた方がいいわけです。

不動産の名義変更(相続登記)に必要な費用

相続登記にかかる登録免許税(印紙代)は、固定資産評価額の0.4%です。

さらに、登録免許税額は100円未満を切り捨てた額になります。

例えば、相続する不動産の評価額が1,000万円だった場合は、4万円の登録免許税がかかることになります。

1,000万円 × 0.4% = 4万円

固定資産の評価額は、毎年送られてくる納税通知書で確認することができます。

もし、納税通知書が手元に見当たらないという方は、役所で固定資産評価証明書を取得すればすぐに分かります。

後は、司法書士にご依頼をされる場合は、別途数万円の報酬が発生いたします。

名義変更(相続登記)に必要な書類

まずは、相続対象となる当該不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)取得する必要があります。

・被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本

・被相続人の住民票の除票

・相続人全員の現在の戸籍謄本

・当該不動産を相続する方の住民票

・当該不動産の固定資産評価証明書

・相続人全員の印鑑証明書

・遺産分割協議書

ケースによっては、上申書を作成し、法務局へ提出をする必要が出てくるケースもございます。

上記の書類を集めた上で、申請書を作成し、法務局へ相続登記手続きをするわけです。

司法書士に依頼をされた場合は、印鑑証明書の取得以外は司法書士がやってくれますから、手間を大幅にカットすることができます。

 

名義変更(相続登記)の手続きの流れ

 

1.不動産の対象となる不動産の特定

       自宅の土地が一つだと思っていたのが、実は2筆に分かれていたということもございます。

また、家族が知らない不動産を亡くなった父が所有をしていた、なんてこともございます。

不動産を複数所有していた方であれば、役所に名寄せをかける必要が出てくることもございます。

2.相続人の調査

       亡くなられた方の戸籍を出生から死亡に至るまで全て取得する必要があります。

戸籍を調査することで、亡くなられた方に実は他の相続人となる子がいたというケースもあります。

戸籍や除籍などの書類を集めて終わりではなく、必ずそこに書かれている内容を確認する必要がご

ざいます。

3.誰が相続するのか?話し合い(遺産分割協議)

       相続人が確定すれば、次は誰が当該不動産を相続するのか?話し合いをする必要があります。

法定相続分通りに各相続人が不動産を共有するというケース以外では、相続人全員の印鑑証明書が

必要となり、遺産分割協議書に各相続人が実印を押し合う必要もでてきます。

また、不動産については、共有にしてしまうことで、その後発生するであろう弊害もありますので、

安易に法定相続分で共有にするのではなく、しっかりとした話し合いが必要です。

   4.書類収集及び書類作成   

話し合いがまとまれば、次は必要書類の取得や作成が必要となります。

相続登記に必要となる印紙代を確定させるために、固定資産評価証明書の取り寄せも必要となってきます。

また、遺産分割をしたケースでは、遺産分割協議書を作成する必要も出てきます。

書類が全て揃わないなど、イレギュラーなケースでは、上申書の作成をするなどの対応が出てくることもあります。

   5.法務局への登記申請   

書類の取り寄せ並びに作成が全て終われば、収入印紙を購入していよいよ法務局へ手続きの申請です。

登記申請後、手続き完了まで、1週間~10日程かかることが一般的です。

手続き完了後は、登記事項証明書(登記簿謄本)で必ず内容の確認をすることが必要です。

名義変更(相続登記)の義務化の流れ

平成28年の地籍調査の結果ですが、登記簿から所有者が判明しなかった土地の割合は20.1%にのぼりました。

そのうち3分の2は相続登記が行われていないもので、残りの3分の1は所有者の住所変更の未登記などによるものあったと言われています。

つまり、所有者不明の土地があまりにも多いわけです。

この対策として、今後相続登記が義務化されていくわけです。

しかしながら、義務化されるから相続登記をするというのではなく、自分の権利保全のためにもできるだけ速やかにされるのが良いかと思います。

不動産の相続(相続登記)のご相談無料です

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